自転車はなぜパンクする?空気が抜ける原因と修理について
自転車に乗っていて一番多いと言っても過言ではない故障がタイヤのパンクです。通勤や通学、子どもの送迎などで毎日自転車に乗られている方は、一度は経験があるのではないでしょうか。
この記事では、日常でよく使われるママチャリを取り上げ、自転車のパンク修理について説明していきます。
そもそも自転車のタイヤってどうなってるの?
一般自転車はほとんどがクリンチャーというタイプの取り付け方式で、タイヤの中にチューブが入っています。このチューブの中に空気が入っており、皆さんが知っているパンパンの状態のタイヤとなっています。
※その他にスポーツ自転車で、チューブラー(タイヤとチューブが一体)、チューブレス(チューブがない)などの取り付け方式があります。
自転車のパンクはどういう状態か
パンクはタイヤに穴が空くことをいいます。
ただ、自転車に乗られるほとんどの方は、空気を入れてもタイヤが膨らまない状態(または維持できない状態)をイメージされると思うので、この記事内では、「タイヤの中にあるチューブの空気が漏れている状態のこと」として説明します。
自転車のタイヤがパンクする原因
自転車のタイヤがパンクする場合、以下のような原因があります。
- タイヤに釘や画鋲などが刺さっている
最も分かりやすい原因で、タイヤを通ってチューブまで貫通してパンクします。
これはタイヤやチューブが新品でも発生する可能性があり、運が悪いと思うしかありません・・・なるべく荒れた道を避けたり、タイヤの表面に異物(尖った石など)がついていたら取り除くなどでできる範囲でリスクを抑えましょう。 - リム打ち
段差を越えた時など、リム(車輪)と段差の角にチューブが挟まれてパンクすることがあり、これをリム打ちと呼びます。
リム打ちの場合、穴が空くと言うよりチューブに切れ目が入り、周辺にダメージがある可能性が大きいため、パッチ修理をしてもすぐにまたパンクしてしまいます。このため、リム打ちでのパンクはチューブ交換がおすすめです。
段差を勢いよく走ったり、タイヤに空気が入っていない状態で走行すると発生する確率が上がります。 - タイヤ、チューブの摩耗、経年劣化
大前提として、ゴムは経年劣化があるもので、長期間使えば耐久力がなくなりパンクしやすくなります。タイヤが古くなった場合、内部が毛羽立ってしまい、その部分がチューブを削り、薄くなったところから穴が空いたりもします。
また、空気が少ない状態で乗ると、タイヤ内部にチューブが干渉しやすくなるのでよりパンクしやすくなります。 - バルブの根元が裂けてしまっている
「サークル錠を掛けたまま走りだそうとして鍵がバルブに当たった」、「バルブの根元のナットを強く締めすぎタイヤ内のチューブの動きにバルブがついていけなかった」などの理由でバルブの根元が裂けてしまうこともあります。
バルブの根元が裂けている場合、パッチでの修理はできないためチューブ交換となります。 - 虫ゴムの劣化
虫ゴムはバルブに付いているゴム製の弁で、チューブの中の空気が漏れるのを防ぐ役割があります。
この虫ゴムが劣化し破けると空気が抜けてしまいます。
特に数時間や数日単位でじわじわと空気が抜けていく場合は虫ゴムが劣化している可能性が高いです。
自転車がパンクしてるかの確認方法
自転車に乗ろうとしたらタイヤの空気が抜けていた場合、以下のように確認してみましょう。
- バルブのトップナットが緩んでいないか
緩んでいた場合はパンクではなく、締めて空気を入れるだけで問題ない可能性が高いです。
ナットを締め、空気を入れて確認しましょう。 - 空気を入れてみる
しばらく自転車に乗っていなかった場合、自然に空気が抜けただけでパンクではない場合もあります。
また、空気は入るが時間をかけて抜けていく場合は虫ゴム劣化の可能性が高いです。 - 虫ゴムの劣化を確認
バルブのキャップ、トップナットを外し、虫ゴムを抜いて状態を確認します。
ゴムに破れや劣化があれば、虫ゴムの交換だけで済むかもしれません。
虫ゴム交換後、空気を入れて確認しましょう。 - タイヤの表面を目視で確認する
タイヤの表面に釘や画びょう、とがった石など異物が刺さっていないか確認しましょう。
刺さっていればそれが原因でパンクしている可能性が高いです。
また、タイヤ表面の溝がなくなっていたり、サイドに亀裂が入っている場合、タイヤの状態が悪く、中のチューブに干渉しパンクしている可能性が高いです。この場合、パンク修理ではなく、タイヤ&チューブ交換になります。 - 空気が抜ける原因がわからない場合
上記の内容で原因が分からない場合は、タイヤ内部のチューブを確認する必要があります。
自転車のパンク修理の種類
一般的な自転車のパンク修理の種類をご紹介します。
- 虫ゴム交換
虫ゴム劣化の場合キャップ、トップナットを外し、バルブを引き抜きます。
引き抜いたバルブのゴム部分が虫ゴムです。
状態を確認し、傷んでいたり破れていればこの虫ゴムを交換します。
ネットで買っても数百円程度なので自分で直せればかなり安上がりです。 - パッチ修理
チューブの穴部分にパンク修理用のパッチを貼り付けて塞ぐのがパッチ修理です。
経年劣化もあいまって空いた穴などは、チューブ自体が弱っている可能性が高いので、パッチで塞いでもまたパンクするリスクがあります。
数年交換を行っていない場合、修理ではなくチューブ交換がおすすめです。 - チューブ交換
タイヤの中のチューブを丸ごと交換する方法です。
パッチ修理が応急処置的なものに比べて、新しいチューブに交換するため、パンクのリスクは下がります。
タイヤも劣化している場合は合わせての交換がおすすめです。
自転車のパンク修理にかかる費用
お店に依頼する場合、部品代と工賃がかかります。
お店によって異なりますが一般的な金額をご紹介します
自転車のパンク修理の相場
・虫ゴム交換 : 一箇所 300円~
・パッチ修理 : 一箇所 1,500円~
・チューブ交換: 前輪 2,000円~ +チューブ代
後輪 2,500円~ +チューブ代
ブレーキ、ギアやチェーンなどがある後輪が少しだけ価格が高くなるお店が多く、
チューブ交換は自転車の種類や選ぶチューブによっても金額が変わるため、2,000円~5,000円が相場とお考えください。
参考までに、チューブだけではなく前後タイヤ交換まで行うと、ママチャリでも1万円を超えることが多いです。
※NORUDEでは契約者向けの作業はパーツ代のみのご負担で工賃無料です。
自転車のパンク修理のやり方
パッチ修理、チューブ交換それぞれでのパンク修理方法をご紹介します。
※NORUDEではパッチ修理を行っておりません。
パッチ修理でパンクを直す場合
パッチ修理に必要なもの
ゴムのり、紙やすり、パッチ、バケツ、タイヤレバー、白いマジック、レンチ
パッチ修理のやり方
- キャップ、トップナットを外し、虫ゴムを抜きます
- 虫ゴムを抜いたら状態を確認
虫ゴムが切れていたり、傷んでいたりする場合は交換 - ロックナットを外す
バルブをリムに固定しているロックナットを10mmレンチを使い外します - タイヤをめくり、チューブを出す
バルブの対面側のタイヤとリムの間にタイヤレバーを差し込みめくり、レバーをスポークに固定
そこから10cmくらい先にもう一本のレバーを差し込みめくり、この容量でタイヤ半分くらいをめくっていきます。半分程度めくったら、後はタイヤレバーを差し込み全体をめくります。 - チューブの穴が空いている部分の調査
水を入れたバケツを用意しておきます
チューブは、バルブに虫ゴムを取り付けてトップナットで固定し空気をいれます
空気を入れたらバルブのところからチューブを水に付けていきます。
この時、バルブを縦横左右に動かし、バルブの根元周辺に穴が空いていないかを確認します。
※バルブの根本に穴が空いていた場合、パッチでは修理ができないため、チューブ交換となります。
バルブ周辺が問題なかった場合、チューブをずらしていき、水がブクブクとなって空気が漏れているところを探します。
穴の空いている位置を見つけたら、印を付けていきます。この時、白いペンを使うと分かりやすく、あとでヤスリで削っていくので少し離れた場所で上下左右にも印を残しておくと分かりやすいです。 - 穴周辺を紙ヤスリで磨く
ヤスリで磨く理由
・表面の汚れ落とし
・表面を削ることで接着しやすくする
チューブに空気を入れ、チューブが張った状態で穴周辺に広めにヤスリをかけます。
ヤスリを掛け終えたらチューブの空気は抜いておきます。 - ゴムのりを塗布し、乾かします
ヤスリで磨いた場所に、乾きやすいよう薄くゴムのりを塗っていきます。
ゴムのりを塗ったあとは、5分以上自然乾燥させてください。
※ゴム糊がチューブのラバーに化学反応する時間となります。ドライヤーを使用しても反応のスピードは変わりません。 - パッチを貼る
パッチ裏面のフィルムを剥がし、穴の位置を確認し貼り付けます。
貼ったあとはしっかりと圧着してください。
圧着後は表面のフィルムも剥がします。 - 修理後の確認
虫ゴム、トップナットを取り付け、チューブに空気を入れます。
これをバケツの水に浸け、空気の漏れがなくなっているか確認します。
修理した部分が無ければ、他に漏れている部分がないか確認します。 - タイヤにチューブを入れる
チューブの空気を抜き、タイヤのバルブ穴とチューブのバルブを合わせます。
その後はタイヤを回転させながらチューブをはめていきます。
※この時ねじれない様に注意してください。
チューブを入れ終わったら、ロックナットをバルブの先端に取り付け、
リムからチューブが抜けないようにしておきます。
この時、ロックナットは途中までにしてください。
リムとタイヤのラインにズレが生じているところは、チューブが挟まっている可能性があるので、一度空気を抜いて入れ直してください。問題がなければしっかりと空気を入れて、ロックナットを締め、修理完了です。
チューブ交換でパンクを直す場合
前輪のチューブを交換しパンク修理する場合の紹介です。
自転車のチューブ交換に必要なもの
レンチ(写真はラチェット)、タイヤレバー、ペンチ
チューブ交換のやり方
- ハブナットを緩め、泥よけのステーも外します
電動アシスト自転車の場合、センサーが付いていることもあるので慎重に外します - タイヤの空気を抜き、タイヤを外します
空気を抜くことでブレーキ部分に引っかからず外しやすくなります。 - キャップ、ナット類を外します
バルブ部分のキャップ、トップナット、虫ゴム、ロックナットを外します。 - タイヤをめくり、チューブを出す
バルブの対面側のタイヤとリムの間にタイヤレバーを差し込みめくり、レバーをスポークに固定
そこから10cmくらい先にもう一本のレバーを差し込みめくり、この容量でタイヤ半分くらいをめくっていきます。
半分程度めくったら、後はタイヤレバーを差し込みスライドさせ全体をめくります。
あとはタイヤごとチューブを外していきます。 - タイヤの片側をリムにはめる
タイヤの進行方向を注意し、タイヤのフチ(ビード)の部分をリムにはめていきます。 - タイヤにチューブを入れる
新しいチューブの部分をリムのバルブ穴にはめ、リムナットを途中まで締めます。
次に虫ゴムとトップナットをはめ、チューブが円形に膨らむ程度に空気を入れます。
(こうすることでタイヤの中でチューブが折れ曲がったりしないで安心です)
ある程度膨らんだチューブをタイヤの中に押し込んでいきます。 - 反対側のフチ(ビード)をはめる
バルブを中心に両手でタイヤのフチをリムにはめていきます。
半分まではめ込んだらタイヤを半周させ、残りの半分も入れていきます。
※この時少し空気を抜くとはめ込みやすくなります。
全部はめ終わったら8,9割程度空気を入れます。 - タイヤが正しくハマっているかチェック
タイヤのフチやバルブがちゃんとハマっているかチェックし、問題があれば空気を抜き調整します。 - 車輪を自転車に取り付けていく
車輪を自転車にはめ、空気を入れます。
泥よけやかごのステーなど外したときと同じ順番になるようにはめ、ハブナットを締めます。 - 最終確認
バルブキャップやナットの締め忘れがないか、ブレーキのセンターが出ているかなどを確認し、問題が無ければ取り付け完了です。
タイヤ交換まで必要な場合
タイヤの溝が無くなったりサイドに亀裂が入っている場合は、タイヤ内部でチューブにダメージを与えている可能性が高いのでタイヤ交換まで行うのがおすすめです。
自転車がパンクしないようにするには
- 空気を入れる
適正量の空気が入っていることで、タイヤが変形せず、タイヤ内部でのチューブの摩擦が減りパンクしにくくなります。
- 段差に気をつける
特に空気が抜けている状態で段差を越えると、リム打ちをしやすくなります。
適正な空気圧であっても勢いよく段差に乗り上げたりすると一点に強い力が掛かるため、リム打ちパンクをしやすくなります。段差を超える際は、スピードを落としゆっくり乗り越えていきましょう。 - タイヤの状態を確認
タイヤの溝に異物がはさまっていないか、タイヤが磨り減って溝がなくなってないか、タイヤのサイドにシワのような亀裂が入っていないかを定期的に確認しましょう。
見える範囲で異物を除去したり、タイヤの劣化具合を見ることで出先でのパンクのリスクを下げられます。 - 定期的にタイヤ、チューブを交換する
上に記載したように、タイヤの溝がなかったり、磨り減っている、タイヤのサイド部分にシワのような亀裂が入っている、数年タイヤもチューブも変えていない場合は、経年劣化でパンクする可能性が上がっています。
一般的に自転車のタイヤ寿命は3年と言われているので、安全に乗るためにも自転車のタイヤ、チューブ交換を検討しましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。自転車のタイヤやパンクのことを知っていただき、快適に自転車をお使いいただければと思います。
新品タイヤ・チューブでも異物を踏んだらパンクしてしまうように、自転車のパンクは完全にゼロにすることはできません。なるべく小まめに空気を入れることで少しでもパンク発生のリスクを下げるのがおすすめです。