電動自転車の交通ルール

東京は加入義務あり!自転車利用者の個人賠償責任保険について

東京は加入義務あり!自転車利用者の個人賠償責任保険について

皆さまは『個人賠償責任保険』について詳しくご存じでしょうか?

個人賠償責任保険は日常生活の個人的な事故で加害者になってしまった場合、相手の方や物損に対して損害賠償費用等を補償する保険です。

自転車事故における被害者救済の観点から、東京都を始め30以上の都道府県が自転車損害賠償責任保険等への加入を義務づけています。

自転車事故の件数は年々増加しており、ニュースでもよく見るので他人事ではいられません。

今回は、個人賠償責任保険と自転車事故の現状に関して説明いたします。

年々増加する自転車事故の件数

令和4年中の東京都の事故数は30,170件。そのうち半数近くの46%が自転車が関与した事故です。

そして自転車事故が関与する事故数は年々増加しており、ここ5年で10%以上も増えてしまっています。

画像出典:https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/about_mpd/jokyo_tokei/tokei_jokyo/bicycle.files/001_04.pdf

この中で「人対自転車」の事故にフォーカスを当てると、過去5年間の平均事故数1,032件です。しかしこちらも年々増加傾向にあり、平成30年と令和4年を比較すると250件の差があります。

また、場所としては、「交差点」での事故が一番多く、全体の47.9%と半分近くを占めています。年齢層別では「65歳以上」が22.9%と一番多く、次に40代、50代と続きます。

コロナ禍以降、密を避けながら移動できる自転車を利用する人が増えたこともあり、今後も事故数は増えていくかもしれません。

では、事故があった場合、自転車側はどれほどの過失を負うことになるのでしょう。

対人事故で自転車側が負う過失

対歩行者との事故時には、基本的に自転車側の過失割合の方が大きくなる場合が多く、たとえ自転車側が交通ルールを守っていたとしても、自転車側の過失が大きいと判断される場合もあります。

例えば、信号機のある交差点内で、自転車側の信号機が青、歩行者側の信号機が黄色で双方侵入し接触した場合、過失割合は「自転車側65:歩行者側35」となります。

また、信号のない横断歩道内で自転車と歩行者が接触した場合の過失割合は、基本的に「自転車側100:歩行者側0」となります。

※実際の事故では当事者同士の話し合いを基準として過失割合が決定します。

対人事故での判例

歩行者との事故の場合、自転車側の責任はかなり大きく、結果として賠償額も大きくなってしまいます。

では次は、自転車事故の具体的な判例を見てみましょう。

【判例①】
加害者:小学生(11歳)
被害者:女性(62歳)
事故状況:
夜間、被害者歩行中に加害者の自転車と正面衝突。
被害者は頭がい骨骨折等の障害を負い、意識が戻らない状態となった。
賠償額9,521万円。

【判例②】
加害者:男性
被害者:女性(55歳)
事故状況:
加害者が信号表示を無視して高速度で交差点に進入、青信号で横断歩道を横断中の被害者と衝突。
被害者は死亡。賠償額5,438万円。

参考:一般社団法人 日本損害保険協会「自転車での加害事故例」

URL:https://www.sonpo.or.jp/about/useful/jitensya/

自動車よりも手軽に入手でき誰でも運転できるため、とても身近な存在の自転車。ですが、状況によっては生死に関わる事故となり得ます。

また、事件内容によっては1億円近くの賠償額となってしまうケースがあり、そこからも事故の大きさや深刻さを計ることができます。

自転車事故、賠償への備え

自転車事故の被害者は大きな後遺症、もしくは命すら落としてしまう可能性があります。

そして、恐ろしいことは私たち全員が加害者にも被害者にもなりうるという現状です。自転車はとても便利な乗り物ですが、改めて日々の安全運転の大切さを感じます。

ここまでで『もしも』に備えておくことの重要性を感じていただけたかと思います。日常の備えとして『個人賠償責任保険の加入』が広く知られています。

個人賠償責任保険は自転車事故だけの保険ではなく、自分もしくは家族が日常生活で誤って他人に怪我を負わせてしまったり他人のモノを壊してしまった際などにも適用されるため、日々の安心のために加入している方が多いかと思います。

個人賠償責任保険は他の保険(火災保険、自動車保険など)のオプションとして加入できる場合が多いです。

また、比較的低額でクレジットカードに付帯している場合もありますので、自分が加入しているか分からない場合は、自転車利用前に一度確認してみることをおすすめいたします。

なお、自転車販売店などで貼付される『TSマーク』にも賠償責任保険と傷害保険等が付いています。

TSマークは、日本交通管理技術協会に登録している自転車安全整備店の自転車安全整備士が点検確認をすると、その証として自転車に貼付されます。自転車に緑、赤、青のどれかのシールが貼ってある方も多いのではないでしょうか。

自転車点検整備のマークに付帯している保険ではありますが その内容は充実しており、自分が加害者となった場合・被害者となった場合の両方をカバーする保険です。

≪補償内容≫

〇自分が加害者となった場合
・死亡または重度後遺障害:限度額1億円
・入院15日以上:一律10万円

〇自分が被害者となった場合
・死亡または重度後遺障害:一律100万円
・入院15日以上:一律10万円

なお、【モノ】に対しては補償がありませんのでお気を付けください。

まとめ

今回は、個人賠償責任保険と自転車事故の現状に関してご案内させていただきました。

この記事を機会に、ご自分やご家族の加入状況を確認いただき、さらに快適な自転車ライフを送りましょう。